標準抵抗器の校正

アルファエレクトロニクス製の一次標準抵抗器(ASR-101)をヤフオクで破格の値段で入手しました。この抵抗器を参照用標準器として用い、値を拡張することで自宅内で抵抗値標準を運用していきたいと考えています。しかし、あくまでもジャンク品扱いの商品のため抵抗値がどうなっているのかを確認する必要があります。そのため、抵抗値を確認するためにJCSS校正が可能な校正事業者で抵抗値の校正を実施してもらいました。

一次標準抵抗器(ASR-101)

アルファエレクトロニクス製のASR-101は、非常に特性の優れた抵抗器で温度係数は0.2ppm/℃、経年変化は3ppm/年という仕様です。主に企業などの標準試験室内で参照用標準抵抗器として用いられます。参照用抵抗器は作業用の抵抗器(ワーキングスタンダードと呼ばれる)を校正して値を付けるための最上位の基準として用いられるため、このような高い安定性が求められます。

https://www.alpha-elec.co.jp/w2img/202210101052062016072014070267822_ASR(JP)_final_24Jun2019.pdf

公称抵抗値[Ω]精度[ppm]抵抗温度係数[ppm/℃]経年変化[ppm/年]定格電力W
100±5±0.2@0~23℃
   23~50℃
±30.5
代表特性

JCSS校正

この抵抗器は自宅内における最上位の参照用抵抗器とする予定です。したがって、国家標準に適切にトレースされた信頼性の高い校正が行われている必要があります。そこで、今回はJCSS校正が可能な校正事業者に校正の依頼をすることに決めました。JCSS校正であれば、国家標準へのトレーサビリティが保証されているため安心です。

JCSS(Japan Calibration Service System)とは計量法に基づく計量標準供給のための校正事業者登録制度です。JCSSの登録事業者は、計量法関連法規及びISO/IEC17025の要求事項に基づいて校正を行う能力について製品評価技術基盤機構(NITE)から審査を受け認定されています。

JCSS校正が可能な校正事業者として、長野県工業技術総合センターに抵抗値の校正を依頼しました。校正の期間は約3週間で校正費用は14000円でした。長野県工業技術総合センターの校正能力については製品評価技術基盤機構(NITE)のHPから確認ができます。

https://www.nite.go.jp/iajapan/jcss/labsearch/pdf/D0076M.pdf

100[Ω]抵抗器の場合で3.7[uΩ/Ω]の不確かさで校正ができます。自宅で運用する参照用標準器としては十分な不確かさであると思います。ちなみに日本電気計器検定所(JEMIC)の校正能力は100[Ω]抵抗器の場合で0.5[ppm]。より小さな不確かさが求められる場合は、JEMICに校正を依頼するのが良いでしょう。

ちなみに不確かさの単位「uΩ/Ω」は1Ωあたりの不確かさを示す単位です。「uΩ/Ω」=「ppm」と同じ意味になります。NITEで推奨している単位表記の方法が「uΩ/Ω」のためこちらを用いているとのこと。NITEの資料である「校正における測定不確かさの評価」によると「推定値の標準不確かさは推定値と同一の次元を持つ」とあります。相対標準不確かさを用いることもできるとなっていますが、基本的には同一の次元を持った単位で表記することが正しいようです。

https://www.nite.go.jp/data/000022114.pdf

JCSS校正結果

抵抗値の校正結果は「100.00014Ω」となりました。2015年に製造されてから8年ほど経過していますが公称抵抗値からの変化は+1.4[ppm]と非常に小さなものでした。製品仕様の±5[ppm]以内、かつ経年変化±3[ppm/年]以内であり、スペック相応の実力を持った高安定な抵抗器であることが分かりました。今後は、1年周期で定期校正を行い値の変化を調査していきたいと考えています。

参照用標準抵抗器が準備できたので100[Ω]から抵抗範囲を拡張していく方法を検討したいと思います。

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