34461Aの測定分解能

34461Aは6.5桁の表示分解能を持ったデジタルマルチメーターです。そのため10Vレンジでは10.00000[V]というような表示になり、その時の最小分解能は10[uV]です。ところが、通信コマンドで値を取得すると表示分解能以上のデータを取得することが可能です。試しにYOKOGAWA 7651から10[V]の電圧を出力して34461Aに入力します。この時、34461Aの画面には6.5桁分の数字が表示されます。最小桁 = 10[uV]。

Sequence Makerを使って「READ?」コマンドにより測定値を取得した結果がこちら。8.5桁分の数値が取得されました。最小桁 = 0.1[uV]。このように通信でデータを取得した場合、表示桁数を超える分解能で内部のデータを出力してくれるようです。

Truevolt デジタル・マルチメータ 操作および サービス・ガイドによると、「READ?」コマンドは9桁の浮動小数点フォーマットでデータを取得することができるようです。

https://www.keysight.com/jp/ja/assets/9018-03876/service-manuals/9018-03876.pdf

ちなみに、購入時についてくる簡易的な検査成績書の測定値も8.5桁表示

ADCの分解能は6.5桁以上あるため通信コマンドでデータを取得した場合は、桁数制限のないデータを出力するような仕様になっているためと考えられます。ADC周辺の回路は上位モデルである34470Aとほぼ同じため、ソフトウェアについても互換性を保つためADCの制御方式や分解能を統一していると推測しています。(ただし、上位モデルは基準電圧回路の安定性やリニアリティが改善されているため絶対精度が高い)

性能保証されている範囲は6.5桁ではありますが、6.5桁を超える分解能で測定値の変化を観測できるというのは非常に便利です。基準量との比較測定などで比測定を行う場合、絶対精度ではなく分解能とリニアリティが重要になるので、分解能が高いほど比測定を行う際の誤差も小さくなります。また、相対的な比較を行う場合にも有効であると考えられます。

まず実測してみる

34461Aの入力を短絡した状態(0[V]入力時)で100回の測定を実施しました。その時のデータが以下です。オレンジ色と灰色のラインが6.5桁表示での最小カウント値です。表示桁数よりも小さな変動分が測定できていることが分かります。入力短絡状態なので、34461Aの測定回路で生じるノイズが測定されているものと考えられます。フルスケール入力電圧10[V]に対して約0.2[ppm]程度のノイズが存在するようです。

次にYOKOGAWA 7651から1[uV]ステップで10[uV]までの電圧を入力してみます。直線的に測定電圧が上昇していることから、表示桁数以下の領域についてもリニアリティがあることが分かります。(リニアリティを数値化するためにはより高確度な発生器が必要なのでざっくりとした値ではありますが…)

他メーカーのDMMがどのような仕様になっているのかも気になりますね。

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